Mukherjee, Animesh, Vittorio Loreto, and Francesca Tria. 2012. ‘Why are basic color names “basic”?’ Advances in Complex Systems 15 (03n04): 115001 (13 pages).
{2014-04-24: 院ゼミ}
【論文のめざすところ】
’Basic Color Terms’の研究 (Berlin & Kay 1969)において明らかにされた色彩語彙に見られる「basicness」の階層を統計的に再検証し、「basicness」を統計的に性格づけることができるか探る。
言語学における’Basic Color Terms’の研究では、「basicness」を語彙の内部構造、意味範囲、使用範囲など主として言語構造上の基準によって性格づけていた。この研究では、「basicness」により実証的な性格付けを試みる。
【感想】
・論文として読みにくい:前提となっている議論や先行研究の内容について、論文の論理の流れを追うのに必要であるにもかかわらず、十分に説明されていないため、論について行きにくいところが多々ある。
・筆者たちはどうも言語や言語学に関する理解が不十分であるように思われる。どうやらこの論文で行おうとしているのは、’Basic Color Terms’の研究ではなく、「basicness」という概念を統計的に分析すると言うことだけに関心があるように見受けられる。
・この研究のベースになっているWorld Color Surveyの調査はこの研究で行っているような統計的分析を想定して行われているわけではないと思われる。そうすると、そもそも統計的分析を適用する意味があるのか、それが適切なのかも注意深く確認し、論証する必要がある。
【おすすめ度】★☆☆