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[書] 負ける体験としてのフィールドワーク

来年アジア・アフリカ言語文化研究所は設立50周年を迎えますが、その記念企画の一つである『人文学のフィールドサイエンス(仮)』に寄稿予定の原稿です。

専門外の読者にむけて、言語学でのフィールドワークを紹介しながら、フィールドワークをすることによってどのような事に気づき、自分の研究がどのように変容したのかを振り返ってみました。同時にそこから「フィールドワーク」という活動の意味を考えます。

読んでみたい!という方は[こちら]からダウンロードしてください。まだ草稿の段階ですが、コメント等ありましたら聞かせてください!

※2014-02-11:草稿改訂版に差し替えました

[発表] 談話を見ることが文法研究になぜ必要なのか

2014年は元旦からアメリカ言語学会で発表(アルバータ大学の大野剛先生と共同)をしてきました。

この発表はアメリカ言語学会の危機言語委員会 (Committee on Endangered Languages and their Preservation) が企画した会話のドキュメンテーションについての特別セッションの一部として行いました。

我々の発表では、自然な談話のデータが文法の研究にとってどのような重要性を持っているのかということについて、我々が進めてきた沖縄宮古島の言葉の調査の中での経験に基づいて論じています。

発表スライドはこちらから。コメント歓迎です!

[発表]「自然談話が切り拓く言語研究」@日本語学会のワークショップ

2013年6月1日〜2日、大阪大学での日本語学会のワークショップ企画で発表してきました。これは国立国語研究所の木部暢子先生が「テキストを使った方言研究から見えてくること-危機方言の調査と記述」という題で取りまとめてくださったものです。

私は、「自然談話が切り拓く言語研究」というタイトルで、自然談話資料を基盤とすることで文法記述・文法研究がどのように拡大発展させられるのかについて話しました。その概要は以下の通りです:

従来の文法記述・研究においても、もちろん談話データが使われてはきましたが、その必要性はあくまで語用論的なパターンなど、文を越えた領域の研究に限られると考えられてきました。そうした考え方のもとでは、談話は文法の中核部分(語や文レベルの構成パターン)には関係ないとされてきました。
しかし、談話、より広くは自然な言語使用の実際の中に見られるパターンをみてみると、従来の形態統語理論から想定されているのとは違う規則性や体系性も見えてきます。さらに今ある文法がなぜそのような形をしているのかを理解する重要な手がかりを与えてくれます。また、自然談話の記述は、言語コミュニケーションのあり方の包括的な記録への貢献ともなります。