理系分野には研究の対象・研究内容が比較的イメージしやすいものもある(たとえば天文学)が、人間や文化・社会に関する領域は概して研究対象も研究内容も具体的にイメージしにくい。
研究分野というのはねらいを定めて選ぶものというよりは、何かに魅せられて突き詰め続けた結果にたどり着くもの、という気がする。すくなくとも自分はそうだった。
言語の研究に興味をもったきっかけは、言葉によるコミュニケーション、人間関係作りに関心を持ったことだった。例えば:
- 説得力のある言葉、話し方はどうして説得力があるのか
- ウソってどうやってつかれるのか;なぜ引っかかるのか;なぜばれるのか
- 誤解はどうやって生じるのか;どうやったら気持ちが伝わるのか
そのうち、人間の言語の作り自体(言語間の語や文の組み立て方の違いなど)にも興味が湧いてきた。 さらに、システムとしての言語の形成のされ方にも関心が広がった:
- 我々が日常話す中で言語が形作られていく仕組み
- 別に日本語文法を意識しているわけでもないのに日本語文法が維持されるのはなぜか
言語という現象について自分が魅了され続けてきたこと:
- 人間の言語の構造的な多様性
- 意識的に共同構築しているわけでもないのになぜ言語知識は共有されているのか
- 言葉を使った意味の伝え合いの複雑さ
- 伝え合いの中で使われてきた言葉の意味の豊かさ
※研究者としての経歴や研究内容についてまとまった紹介記事を読んでみたい方はこちら(東京外国語大学Globe Voice 8収録)をどうぞ