[読] 言葉と脳と心:失語症とは何か

山鳥 重「言葉と脳と心:失語症とは何か」

2014-01-26:読み始め

【関心を引くところ】

筆者は、言語の能力を失うという障害の原因を、脳損傷の部位ではなく、「心の働かせ方(さまざまな基本的認知能力の結びつきによって形成される意識の形)」の障害に求めるという考え方をとる。言語などの高次機能の障害は、脳の部位としての「中枢」の破壊が直接的に引き起こすというよりも、その高次機能を早発させている基本的領域の結びつきが大脳損傷によって切り離されてしまうことによって起こるとする。

この立場は、言語能力について私が取っている考え方と通じるところがある。私は、言語という能力が、「言語本能」や「言語中枢」といった脳内のハードウェアを想定して説明するのではなく、カテゴリー化をはじめとする基本的認知能力を基盤としてコミュニケーションという社会活動のなかで動的に形成されるものであると考えているので、非常に共感できる。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)